第一回復興政策賞・計画賞・設計賞 受賞作品

2019年11月20日、復興デザイン会議第1回全国大会「復興政策賞」「復興計画賞」「復興設計賞」の最終審査委員会(審査委員長:羽藤英二)を実施し、厳正な審査の結果、受賞6件(政策賞1件、計画賞2件、設計賞3件)を決定いたしました。

審査委員⻑ ⽻藤英⼆(都市⼯学)
副委員⻑ ⼩野⽥泰明(建築計画)、徳永幸久(都市計画)
審査委員 ⾚川俊哉(都市計画)、秋⽥典⼦(ランドスケープ)、窪⽥亜⽮(地域計画)、千葉学(建築設計)、廣井悠(防災計画)、⼭⼝敬太(⼟⽊計画)、渡部英⼆(復興事業)

復興政策賞

くしの⻭作戦

【受賞者】国⼟交通省東北地⽅整備局

【事業概要】

津波により孤立した沿岸部への救命・救援ルート確保のため、東北地方整備局を中心に関係者が連携し、内陸部の東北自動車道と国道4 号の「縦軸」から「くしの歯」のように沿岸部に伸びる15 ルートもの国道を啓開。沿岸の国道45 号は3 月18 日までに約97%が通行可能となった。

【受賞者のコメント】

被災地の救命活動や緊急物資等を届けるルートを確保するのが「くしの歯作戦」です。発災後、概ね1週間で東北地方内陸から太平洋沿岸地域を繋ぐ縦横軸となる道を切り開きました。現場で従事いただいた地域の建設会社、自治体、自衛隊、警察等、各機関の連携の賜であり、あらためて感謝を申し上げます。

復興計画賞

中越メモリアル回廊

【受賞者】公益社団法⼈ 中越防災安全推進機構

【事業概要】

中越メモリアル回廊を設置・運営。中越メモリアル回廊は、長岡震災アーカイブセンターきおくみらい、おぢや震災ミュージアムそなえ館、やまこし復興交流館おらたる、川口きずな館、木籠メモリアルパーク、妙見メモリアルパーク、震央メモリアルパークで形成される。

【受賞者のコメント】

「中越まるごとアーカイブ」の合言葉のもと、できるだけ現場の保存につとめた。また、中越メモリアル回廊をまわることで中越地震の教訓をより深く知ってもらえるよう工夫をこらした。加えて、復興まちづくり、地域づくりに貢献する施設を目指した。

宮古市の復興まちづくり計画

【受賞者】岩⼿県宮古市

【事業概要】

地区住民が計画を取りまとめ、市長に提言する「検討会立ち上げ型」および、地区住民との意見交換会や個別意向確認を行う「全体協議型」により示された計画を、市が可能な限り尊重、検討を行い、復興まちづくり計画を策定した。

【受賞者のコメント】

住民の皆様と共に計画策定に取り組んだことで、後の事業展開を円滑に進めることができました。今回の受賞は、住民の皆様が多忙の中、計画策定に参画していただいたこと、大学の先生をはじめ関係機関の皆様のご支援ご指導の賜物と感謝しております。

復興設計賞

釜⽯市⽴唐丹⼩学校・釜⽯市⽴唐丹中学校・釜⽯市唐丹児童館

【受賞者】有限会社乾久美⼦建築設計事務所、株式会社東京建設コンサルタント

【事業概要】

被災した児童館、小学校、中学校の建て替え計画。海岸沿いの小さな漁業集落と子どもたちによりそえるヒューマンスケールな学びの場を生み出すよう、土木と建築の制度や文化を乗り越えた、一体的な計画を目指した。

【受賞者のコメント】

住民の方々、釜石市の職員の方々、復興ディレクター、施工者など、多くの方の尽力があって初めて、やさしく、楽しく、安心感のある環境が生まれたと感じています。その努力をみていただけたのかと想い、感謝しております。ありがとうございました。

⾼⽥松原津波復興祈念公園国営 追悼・祈念施設

【受賞者】株式会社プレック研究所・株式会社内藤廣建築設計事務所設計共同体

事業概要】

東日本大震災による犠牲者への追悼と鎮魂、震災の記録と教訓の後世への伝承を目的に、国・岩手県・陸前高田市が連携して整備した津波復興祈念公園。国営の追悼施設、県営の博物館、市委託運営の道の駅が一体となって整備されている。

【受賞者のコメント】

「海へ想いを馳せること」と「明日を生きること」、この二つを計画の中で実現することを目指しました。海へと向かう「祈りの軸」と震災遺構から道の駅に至る「復興の軸」を設定し、実現に向けては、関係諸官庁、平野勝也東北大准教授と篠沢健太工学院大学教授とともに計画を進めました。皆で受賞をよろこびたいと思います。

⼗津川村復興公営住宅

【受賞者】⼗津川村復興公営住宅設計チーム(⼗津川村/奈良県/蓑原敬/環境設計研究所/アルセッド建築研究所/市浦ハウジング&プランニング)

事業概要】

2011年9月の紀伊半島大水害で被災した奈良県十津川村は、十津川産材を活用し、気候風土・生活文化に根差した木造戸建の復興公営住宅を、村の安全・安心拠点である谷瀬・高森集落に、大規模な造成を行わずに13戸建設した。

【受賞者のコメント】

奈良県・十津川村・村づくりアドバイザー・コンサルタント・設計事務所がチームを組み、村づくりの戦略を検討しながら復興事業を推進した。現在でも集落活性化や高齢者福祉、林業の6次産業化などの取り組みが進んでいる。