復興デザイン学2020

講義の概要

  「復興デザイン学」では、「復興デザインスタジオ」と連動しながら復興に関連する講義シリーズを開講しています。

講義の記録
ARCHIVES

第一回:2020年4月13日 April 13rd, 2020

大津山堅介(東京大学先端科学研究センター)

概要
ミャンマーにおける集落共同体の性質と洪水被害及びその後の対応、米国フロリダにおけるハリケーン・イルマ襲来時の避難及び各世帯の属性に関する実態調査をもとに、地域社会ごとのリスク回避・対応の相違、防災のあり方について論じた。特に、流動性(mobility)の低い人口(trapped population)が多い地域において地域コミュニティによる組織化等を指摘した。

第二回:2020年4月27日 April 27th, 2020

大月敏雄(東京大学)

概要
ロンドン大火後の復興計画、関東大震災後のバラック住宅や同潤会による住宅供給国内外の事例を参照し、主に住宅・住生活に関する災害復旧・復興の展開について論じた。

第三回:2020年5月18日 May 18th, 2020

「他者に学び、我が身を振り返る:ハリケーン・カトリーナ×東日本大震災」近藤民代(神戸大学)

概要
2004 年ハリケーン・カトリーナ災害復興に対する計画的介入を東日本大震災と比較しながらレビューした。ハリケーン・カトリーナでは災害危険区域指定、土木構造物の強化等は行われず、住宅再建支援、不動産移管・再生プログラム・グリーンインフラ整備の推進が行われた。復興を居住環境の持続性(Sustainability)、住みよさ(Livability)、レジリエンス/適応力(Resilience)を回復・向上させるプロセスと定義した上で、復興を動かす力が計画的介入だけではないこと、また復興の道筋や居住場所をコントロールすることが困難であるなかで、計画者がズレが生じることを前提とした上で、適応をすることが重要であると指摘した。

第四回:2020年5月25日 May 25th, 2020

「巨大災害への対策」廣井悠(東京大学)

概要
様々な歴史的な巨大災害・感染症の事例をもとに「巨大災害への立ち向かい方」について論じた。今後の都市防災の新しい方向性として、「30年、100年無理なく続く全体最適をいかに実現するか」「経験していない/目に見えない/理解しにくい巨大・複合災害リスクを想像できるか」「これからの都市・社会・安全に関するビジョンづくりと価値創造、原理的変革をどう起こすか」といった論点が提示された。

第五回:2020年6月1日 June 1st, 2020

「災害・モビリティ・経済」福田大輔(東京大学)

概要
交通行動分析・空間経済学等を基盤として、災害や感染症によってモビリティ、経済に与えるについて論じた。モビリティに与える影響についてパッシブデータ等による実態把握は従来より遥かに容易になってきたものの、事前復興的な観点からの交通NWの信頼性・脆弱性評価方法の開発に関する研究課題は山積であると指摘した。また、モビリティと国民・地域経済について、都市化のメリット(集積の経済学/空間経済学) のみならず、空間構造の非可逆的脆弱性の考慮の必要性がある点、国民・地域経済の維持と感染拡大抑止のトレードオフの考慮の必要性がある点が指摘された。

第六回:2020年6月8日 June 8th, 2020

首都圏を守る国土交通省の災害対策の現在と未来」石原康弘(国土交通省関東地方整備局)

概要

首都直下地震による広域的な交通インフラの障害の発生等が懸念される中で、2019年台風19号被害等の際における実際の災害対応にも触れながら、国土交通省による対策状況について紹介があった。周辺の民間事業者等と連携した八方向からの道路啓開体制の構築等について紹介があった。

第七回:2020年6月15日 June 15th, 2020

都市の事前復興の取り組み」島内亮太(東京都都市整備局)

概要
首都直下地震に対する被害の軽減・防止、被災後の速やかな都市復興を実現するために東京都が取り組む「事前復興」の取り組みについて紹介された。東京都では都市復興の手順を定めた震災復興マニュアルを策定するとともに、行政職員の実務能力向上を目的として実施している都市復興訓練等の取り組みが紹介された。

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