福島原発事故6年目:地域再生に向けた研究の新たな協働をめざして
東日本大震災を契機に、これまでの工学的技術を統合して、新たな復興デザイン研究を築くために、復興デザイン研究会を開催しています。
第9回は、日本環境会議東日本多重災害復興再生政策検討委員会との共同で、原発事故から6年目を迎えた福島の地域再生に向けた協働の取り組みについて、話題提供、議論を行った。
開催概要
日時: 2016年9月9日(金)16:00〜19:00
場所: 東京大学・本郷キャンパス・工学部14号館1階141号室
テーマ:「福島原発事故6年目:地域再生に向けた研究の新たな協働をめざして」
タイムテーブル:
16:00-16:10 趣旨説明 寺西俊一(帝京大学/日本環境会議(JEC)理事長)
16:10-17:00 窪田亜矢(東京大学)
「原発被災からの協働の復興に向けて:南相馬市小高復興デザインセンターの取り組み」
17:00-17:30 除本理史(大阪市立大学/JEC事務局長)
「原発事故被災地における賠償と地域再生の課題:川内村の事例から」
17:30-18:00 寺西俊一
「JEC東日本多重災害復興再生政策検討委員会のこれまでの活動と今後の取り組み案」
18:00-19:00 総合討論
主催:東京大学復興デザイン研究体
日本環境会議(JEC)東日本多重災害復興再生政策検討委員会
報告
冒頭、復興デザイン研究体の窪田から「南相馬市小高復興デザインセンターの取組み」について、除本先生から「福島県川内村を事例とした原発被災地における賠償と地域再生の課題」について、寺西先生から「JEC による福島の地域再生に向けたこれまでの活動と今後の取組み」について、それぞれ報告、話題提供が行われ、その後会場を含めた総合討論を行った。
討論においては、福島県の被災地の住民や、元自治体職員などから、原発被災地で起こっている除染等の復興事業や太陽光発電などの自然エネルギー開発に伴う「自然破壊型復興」の現状が共有された。また、福島県内外に存在するさまざまな形の分断も指摘された。
福島の復興に向けては、賠償や補償に関する行財政上の課題など、構造的な問題が存在しており、法制度の改正を含めた課題解決に向けた模索が必要である。その際には、加害者と被害当事者だけではなく、国、県、基礎自治体、事業者等の広範なステークホルダーを含めた検討・議論、また災害前や復興過程など、時系列的な整理も必要である。
その一方で、小高復興デザインセンターで取り組んでいるような、実際の空間に即したボトムアップ型のプランづくり、まちづくりから汲み取られるニーズの存在が、実効的な法制度の構築においては、重要となる。