第11回復興デザイン研究会 開催報告

災害復興の過去の教訓を未来に活かす

 東日本大震災を契機に、これまでの工学的技術を統合して、新たな復興デザイン研究を築くために、復興デザイン研究会を開催しています。
 第11回は、防災・復興の専門家をお招きし、「事前復興」の意味、「復興準備」の概念とその意義について話題提供いただきました。

開催概要

日時: 2016年12月13日(火)19:00〜21:00
場所: 東京大学・本郷キャンパス・工学部14号館222号室
テーマ:「災害復興の過去の教訓を未来に活かす~復興準備の必要性とその意義」
話題提供:加藤孝明(生産技術研究所 准教授)
主催:東京大学復興デザイン研究体

概要

 複数の自治体において、「復興準備」の実践的な取組みを尽力されている研究者・加藤先生をお招きし、復興準備の必要性をその意義について議論を行った。

 東日本大震災を含む過去の災害事例を検証したところ、「災害・復興は社会のトレンドを加速させる」「復興は従来の問題を深刻化させて噴出させる」「復興で用いられる政策は、過去に使った頃のあるもの」といった「災害復興6法則」が整理された。この法則に照らし合わせると、復興の準備は可能であると言える。

 一般に事前復興とは、「復興における将来像や進め方を事前に検討・準備すること」と「災害に強いまちにしておくこと」の両輪からなっている。事前復興は、このうち前者を指している。

 復興準備の視点としては、「特定の災害を想定し、確実に対応する」「あらゆる災害に対して備える」という2つが存在する。例えば、東京都が策定した震災復興マニュアルは、阪神淡路大震災の経験をもとにしており、想定した特定の災害に確実に対応するためのものである。これに対し、加藤先生が取り組む「復興状況イメージトレーニング」は、未経験の災害・復興課題に備えるための手法である。

 自治体職員や市民らが、災害発生に伴い、市街地の特性や社会的な状況から可能性のある被災や復興のシナリオをワークショップ形式で想定することで、復興課題を事前に理解し、それを解決するための施策を事前に検討しておくというものである。これにより、災害特性に応じた柔軟性のある対応が可能となると考えられる。

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