講義の概要
「復興デザイン学」では、「復興デザインスタジオ」と連動しながら復興に関連する講義シリーズを開講しています。
講義の記録
ARCHIVES
プレ1:2019年4月8日 April 8th, 2019
「過酷な状況におけるデザインの場所」小野田泰明(東北大学)
概要
東日本大震災でさまざまな復興の現場に携わった経験から、復興デザインにあたっての問題・課題が提起された。安全性の設定とデザイン問題、建築と土木による設計言語の違い、プロセスによる合意形成の進み方、行政・住民・専門家間の情報共有のあり方、災害公営住宅の課題と建築計画による解決の模索などが指摘された。現場毎に状況が違うなかで、そこから積み上げ・発想していくことの重要性が述べられた。
第一回:2019年4月15日 April 15th, 2019
「復興デザインのための風景の読み解き」西村幸夫(神戸芸術工科大学)
概要
都市・地域の復興の前提となる風景の読み解きをテーマに、福島市と前橋市を事例として、近代以降の都市形成/都市空間の理解の方法・姿勢を講義いただいた。こうした理解のあり方は都市を計画する・構想する上での指針として重要となる。また、地方都市の見て、地方都市の問題を考えることの重要性が若い世代へのメッセージとして語られた。
第二回:2019年5月13日 May 13th, 2019
「東日本大震災に学ぶ漁村の防災・復興の論点」富田宏(株式会社漁村計画)
概要
漁村の生産と生活、文化および環境が一体となった性格が整理された上で、東日本大震災で漁業集落において展開された復興事業とプロセスの成果と課題、また集落の事例を踏まえて、東日本大震災を経た漁村集落の復興や事前復興における論点として、制度設計・主体や体制・低地利用・産業などが指摘された。
第三回:2019年5月20日 May 20th, 2019
「芦屋市若宮地区の復興デザイン 視線のコミュニティとボイドな空間のデザイン」江川直樹(関西大学)
概要
阪神淡路大震災後の復興として、自力再建住宅と公営住宅が混在する芦屋市若宮地区の住宅地計画・集合住宅設計に関わった経験から講義いただいた。集まって住むカタチのあり方、場所の声を聞くこと、小さく・混ぜて解くといった点がポイントである。風景や建築、住民間の関係性の理解・観察に基づく丁寧な設計・計画方法が述べられた。
第四回:2019年5月27日 May 27th, 2019
「東日本大震災からの復興まちづくり 空間構造再編の実態と課題を中心に」姥浦道生(東北大学)
概要
東日本大震災からの復興計画の基本的な考え方と、集団移転や嵩上げ再建などを行った市街地・集落の実態・課題について講義いただいた。人口減少や財政難を踏まえた事前復興・復興の手法・概念、土地利用のマネジメントのあり方、住宅再建プロセスにおける被災者の意向変化などが南海トラフ地震に向けて指摘された。
第五回:2019年6月3日 June 3rd, 2019
「益城町の復興の現状とましきラボの活動」円山琢也(東北大学)
概要
益城町の復興の考え方、また熊本大学が復興支援の拠点として設置した「ましきラボ」の取り組みについて講義いただいた。道路整備事業や区画整理事業等にあたって、大学の多様な分野の専門家や学生が関わり、模型等を使ったWSや情報発信の取り組みが紹介された。仮設住宅からの再建意向調査研究の成果も踏まえた生活再建支援政策についても提案された。
第六回:2019年6月10日 June 10th, 2019
「東日本大震災における復興の取り組み 〜居住地・住宅再建の選択の観点から復興計画、事前復興を考える」菊池雅彦(復興庁)
概要
復興計画や復興事業の前提となる調査、東日本大震災後の復興計画の基本的な考え方、住宅再建の住民意向とそれにかかわる事業制度の展開について講義いただいた。現状の政策のもと自力再建を行う世帯や人口移動が多くなっている状況を踏まえて、被災前から再建の選択肢をイメージできる調査等による事前復興の取り組みの必要性が指摘された。
第七回:2019年6月17日 June 17th, 2019
「災害に伴う移動 すまいと学校」井本佐保里(日本大学)
概要
仮設住宅や住宅再建までの過程での住まいの移動、福島原発事故に伴う学校の移動について、講義頂いた。「セーフティネット」としての仮設住宅の重要性を踏まえて、地域の状況やニーズに基づく選択肢の提供が重要である。また復興プロセスの中での学校の役割の変化や移動する学校における課題について指摘された。
第八回:2019年6月24日 June 24th, 2019
「災害復興への備え」塩崎賢明(立命館大学)
概要
日本を中心とした災害復興における各プロセスの制度や計画の展開とその課題について講義いただいた。復興住宅システムの改革や防災・復興にかかわる体制の強化・構築の必要性が指摘された。