2019年度夏学期宇和海事前復興スタジオ 南予をデザインする

課題趣旨

太平洋から黒潮が流れ込む宇和海は、複雑な潮流の流れが豊かな漁場を形成し、いくつもの入江と浜地形の中で、固有の生活景が展開されるとともに、遍路道や旧宇和島藩の城下、肱川流域圏などの中山間の在郷とのつながりが継承されてきた。本スタジオでは、宇和海南海トラフ地震と津波を想定した上で、半島の風景と、拠点市街地の事前復興デザインの提案に、および西日本豪雨からの復興デザインの提案に社基・建築・都市の三専攻の大学院生が取り組む。スタジオでは、現地スタディツアーを通じて得られる半島と市街地に対するよりよい理解を下敷きに、地域の課題抽出を行い、半島漁業集落と市街地における事前復興のデザイン、海沿いの柑橘農業集落と在郷由来の市街地における豪雨災害復興デザイン、およびマネジメント提案に基づいて、現地発表会を実施する。

スタジオの経過

本スタジオは、近い将来の発生が懸念される南海トラフ地震に対し、愛媛県南予地域の5市町(伊方町、八幡浜市、西予市、宇和島市、愛南町)を対象として、小さな事前復興プランを提案することを目的とした。なお、西予市は平成30年7月豪雨で被災した野村町を対象としている。三専攻から、計24名の修士生が履修した(2019年4〜7月)。

スタジオは2019年4月8日に、小野田泰明教授(東北大学・建築計画)による特別レクチャー「過酷な状況におけるデザインの場所 – 東日本大震災・復興の経験から-」からスタートした。また、4月20〜22日に、現地調査として対象5市町を訪れた。この際には、共同研究を行う愛媛大学の協力を得て、市街地や集落の実態調査を行う共に、地元行政や住民からお話を伺った。

5月27日に中間発表を実施したのち、後半の提案検討にて、特別レクチャー・エスキースとして、野原卓准教授(横浜国立大学/都市計画)、知花武佳准教授(社会基盤学専攻/河川工学)、安原幹准教授(建築学専攻/建築設計)、山崎義人教授(東洋大/集落計画)を招いた。

最終成果は7月8日に国土交通省菊池雅彦氏、愛媛大学山本浩司教授らを招いて学内発表を行った。また、2020年3月7日に宇和島市にて開催予定であった事前復興フォーラムにて、成果報告会を行う予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大による影響で、イベント中止となり、代替として動画を撮影し、愛媛大学宇和海沿岸事前復興研究デザインセンターのHP内で公開した。

宇和海沿岸事前復興研究デザインセンターHP: http://www.cee.ehime-u.ac.jp/~rd/custom10.html

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