2022 夏スタジオ

Design for Tokyo’s Vulnerability 江東区事前復興デザイン

 趣旨

縮退社会において、南海トラフ巨大地震という広域災害の発生が懸念される。内閣府の想定によれば、特に静岡、和歌山などでの死者数想定が多く、大阪や名古屋などの大都市の壊滅的な被害も予想されている。こうした状況において、国の関心や社会のリソースは、同様に被害が厳しいはずの四国の集落などにはあまり向かないかもしれない。また2018 年7 月に発生した西日本豪雨により、愛媛県の各地域でも河川氾濫・土砂災害等によって住まい、インフラ、産業などに甚大な被害が発生した。本スタジオでは、愛媛県・宇和島地域における巨大地震・豪雨災害への事前復興をテーマとした。半島の風景と港湾、拠点市街地の事前復興のデザイン提案に、社基・建築・都市の三専攻の大学院生が取り組む。現地の形成過程や実態把握をふまえて、災害への頑健さと地域の個性の継承を両立できるような空間計画・地域構想・制度設計を考えてもらいたい。

課題

・本スタジオは建設系の大学院生を履修者として想定している。それぞれの分野を越えて、良く議論し一つの提案にまとめることで自分の専門領域の可能性と限界を考えてほしい。

・前半は、調査やリサーチを中心とする。2019 年度のスタジオ(宇和海・南予)の成果を参照しつつ、チームごとに発表して、全員で理解を深める。よって月曜午後以外に、チーム単位で議論を尽くす。復興研究や事前復興のあり方については「復興デザイン学」でも関連づけて講義を行うので聴講してほしい。

・後半は、提案に主眼を置く。特に中間ジュリー以降は、チームごとにエスキース、提案内容を深める。提案においては、多様なスケールを対象に、空間計画に加えて、それと密接に結びつく産業やコミュニティといった地域の経済・社会的側面を総合的に捉えるとともに、それらを支える法制度や事業手法などへの提案も含めて、復興をデザインする。

・復興デザインに求められる地域に自然(ジネン)する規範をオーラルヒストリーとして空間的文脈に即して現地収集し、これを分析することで事前復興および事後復興に向けたデータプラットフォーム構築を図る。

・現地踏査および復興デザイン研究体によってすでに収集されている基盤データプラットフォームを用いて地域の課題を抽出し、地域計画のコンセプトを提案する。

・災害時における避難、および復旧復興期における迅速な地域支援による復興を想定した上で、平常時と災害時を支える空間計画(建築、インフラ、公共空間)を設計・提案する。

・最終的にスタジオの成果は報告書にまとめる。この報告書は、宇和島市における事前復興に関するワークショップにて参考資料として活用していただく予定である。(実務のつもりで課題に取り組むこと)

・「復興デザイン実践学社会接続演習」にて、本スタジオの成果を現地で報告する。こちらもぜひ履修してほしい。

スタッフ

担当教員:⽻藤英二・福田大輔・本田利器・⼤月俊雄・横張真・浦田淳司・北原麻理奈・中尾俊介

TA:黒島・神谷・田中・坂下・前田・小島

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